疎通

真面目な話です。
ライターっていうと、芸能人の誰それさんのインタビューなんてのをして、それを文章にする人っていうイメージが強いようなんですが、そればっかりじゃありません。というか、私の主観で言うならそういう仕事ばっかりだったらすっごいラクチンなんだけどな〜という感じ（笑）。仕事に楽も大変もないとは思うんですが、そういう輪郭の見えている単純作業（っていうと語弊があるか？）は経験さえ積めば楽です。

一方、私が毎度頭を悩ませるのは素人さんから「アイディアを出して！」と言われる仕事。つまりページ数だとか大まかな枠は決まっているけれども、具体的に何をすればいいのか、その人はさっぱりわかってない…というようなモノ。企業とかの広報関係に多いですねえ。「お客さんに配る冊子を作りたい」っていうぐらいしか決まっていないこともしばしば。
いいですねえー！載せたいものがないんならそんな冊子出さなきゃいいのに…と思うんですが、予算があるので出さないわけにいかないそうです。無駄使いですねー（笑）。
しょうがないので、勝手にいろいろとリサーチして企画プレゼンします。そのままスンナリいくこともあり。「やりなおし！」と言われることもあり。

でね、この「やりなおし」指令の上手い人と下手な人の差。やりなおしを命じる以上、なんか方向性とか、やりたいこととかがあるんだろうから、それを言って欲しいのに。意外なことに、全体の２〜３割は「なんでもいいからもうちょっと他にも出して欲しい」と言うのです。そんなのアリ？最初に提案したもののどこが気に入らないのか？とか言ってくれるだけでもいいんですよ。こちらもプロだから、そういう断片的なコメントから好みを探り出してテコいれするのは得意です。でもー「なんでもいいから違うもの」って言われると何をすればいいのかわかりません。最初に出したものだって、自信を持って提供させていただいているんですけどねえ。無理難題を出して私を試そうとか。もしくはいろいろ考えさせて育てようとしてくれているんならそれはそれで有り難いんですが（笑）。でもこれはビジネスです。

レストランで「お金がいっぱい余ってるから、これで食べられるもの何でもいいから出して！」って言われて、シェフが料理を作ったら口もつけずに「何でもいいからもっと違うのない？」って言ってるようなもんじゃん？肉が好きとか、魚は嫌いとか。和食が好きで中華が嫌いとかぐらいは言ってくれないとねえ。

家建てるときだって何人家族とか、何部屋欲しいとか、寒いのは嫌だとか、車も止めたいとか、場所はここがいいとか、駅から遠いのは困るとか、いろいろ注文あるでしょう〜。何も言わずに札束出して「何でもいいから適当なところに家建てて」なんてありえない！

それでも「満足できるものを出すのがあなたの仕事なんでしょ？」って言われると、昔はカチンと来たんですが、最近はゲンナリするだけになりました。そんなやりとりを続けたところで、クライアントの満足できるもんなんかできませんって。それで困るのはクライアントさんなんだからねえ。私はいいですよ、案出した分全部料金貰っちゃうよ（←嘘です）。

でもそんなんでお金貰ったって虚しいじゃないですか…。できればもっとコミュニケーションとって効率よくいいものを作りたいじゃないですか。痒いところに手が届くライターでいたいわけですよ。忙しいのなんてどーとでもできますが、意思の疎通は一人じゃどーともなりません。
そんなこんなで、今日は雨の中、ちょっぴり虚しい気分です。