新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

余談:お宅訪問

友人が新築したというので遊びに行ってきました。勤めていた頃の同僚でして、彼女は今でもバリバリに編集者としてお勤めをしています。ついでに旦那さんも同じ会社の人。ついでに言うなら私の夫も同じ会社。つまり私だけが都会の荒波についていけずに、ヘタレてスピンアウトしたわけです。情けなや。ガッツリいい仕事していて、いつ会っても尊敬しますねえ〜。まあ本人しょうもないところもいっぱいあるんですが。仕事の面では真似しろと言われても、私は3日ももたないと思われます。特別に共通の趣味があるとか、何かを一緒に成し遂げたとか、そういうエピソードはなく、私たちの共通項は「同期」というだけで、思えば一緒の編集部になったことすらないんですが。なんというのでしょう、今となっては年に1〜2回会って話す程度ですが、まったく気のおけない関係でして。今回も「家見せろ」「来い!」みたいな短いメールの遣り取りの後に、家族で押しかけるという状況になりました。

これがなんとも素敵なお宅でしたねえ。都内の狭小住宅と呼ばれるような感じの立地条件ですが、所謂デザイナーズ住宅というような小洒落たものではなく、非常に落ち着きと趣のある素敵なお家でした。
地方の古民家の廃材(すごい太い大黒柱みたいなの」を買い付けてきてどーんと家の真ん中に据えてあったり。扉という扉は昔の住宅では当たり前だった木枠にガラスの嵌ったもので。それも古い建具を扱うところから買い付けたようです。昔の日本人は小さかったんだな…と実感できるぐらいの大きさの扉で、少し大きめの方だったら頭がつっかえてしまいそうな高さ。嵌っている擦りガラスも薄くて模様がとてもきれい。柄違いで障子みたいに嵌めこまれていたりして、デザインの美しさを感じます。「これって割ったらもう同じものは手に入らないよねえ〜」と、ドキドキですが。昔は皆引き戸だったのでその引き手もついたままにそこに金具をくっつけてドアにしているのでした。照明も京都の古い物を扱うお店で捜したそうで、鋳物の細かい細工をした枠にガラスが嵌めこまれているペンダントライトなど「すごい重くてさあ、電球切れても自力じゃ取り替えられないよ」と大笑いしている状態。「地震がきたら怖いじゃん」「きっとその時は家もつぶれるって」「そこまでいけば一緒だもんな」と、新築の家主&新築祝いの客の言葉とは思えない会話が繰り返されるのでした。

狭いとは言え、和室には床の間もあり広縁もあり地窓もあり。雪見障子を前に座るとなんとも落ち着く感じ。キッチンはIH、トイレはタンクレス、洗濯機はドラム式、空間を上手く使った2Fリビング、連続した天窓と、そこかしこに現代感覚が入っているのに、この落ち着き。「昔の家って皆こうだったよねえ」と思わずしみじみ。無論我が家のプランニング傾向とは違うものなのですが、何か心の奥底に思うことは同じような気がしました。

広い狭いの問題ではなく、洋風和風の問題でもなく。どことなく「この家主にしてこの家」と思えるような家がいいなあと。ちょっと細かいところで妥協しそうになっている矢先だっただけに、もっかい冷静になってどこに拘りたいのか考え直そう…という気持ちになりました。楽しくも有意義なお宅訪問だったのでした。
ほっこり落ち着く家を建てたいなあ。