新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

先生と生徒 プロと素人 彼と私

とりあえず夫婦で初回間取り図を眺めながらアレコレと問題点を洗い出す。あそこがダメここがダメと。何事でもそうですが、悪いところというのは誰でも簡単にあげつらうことができるんですよねえ。仕事でも趣味のことでも、批判が先行するというのは同じで、今回も例外ではありません。しかしこれって別に設計さんの所為でも営業さんの所為でもなく、まあ強いて言えば我々の所為でありまして(汗)。というか、そもそも「こんな家建てたい!」などという希望もなくノリでやり始めたことでして(←無責任)、しかも初対面でそんなに的確に要望が伝えられるはずもなく(←開き直り)、ついでに言うならこちとら素人でい!ってなもんで(←さらに開き直り)して。
とりあえず挨拶もそこそこに「とっても素敵な間取りありがとうございました」とお礼を告げしかし間髪入れず「申し訳ありません」と謝る夫婦。「私たち、根本的に何か間違っていたようです」と切り出すのに勇気のいることと言ったら(笑)。
結局次のようなことを伝えたのでありました。

  • 1階リビングに(上下逆転)
  • リビング階段がいいな
  • 書庫は鰻の寝床(廊下みたいな)でいい
  • 洗面台を広く取れるようにして
  • 引き戸いっぱいが好き
  • ウォークインクローゼットつけてね

細かい話は山ほどあるんですが、概ねこんな感じ。リビング階段というのは昨今流行らしく、リビング内から階段がにょきにょきと出ていて、そこを通らないと2階にはあがれない。ということは、子供たちは母ちゃんがテレビを見ている横を通って「ただいま〜」と2階にあがるのです。これならオトコを引きずり込むこともできまい(ってまたこの話・笑)てのは冗談ですが、モデルハウスとかで結構良い雰囲気だったので、深く考えずに言ってみました。
書庫については夫が友人のところが廊下に本棚をつくりつけたという話を聞き、提案したもの。とにかく彼は「書斎」が欲しいのではなく大量の本を収納できる「書庫」が欲しいのです。私に「もう入りきれない分は整理して処分してよー」とぶつくさ言われたくないのです。人目につかない奥のほうに山ほど閉まっておける「聖域」が欲しいのです。
洗面台は単に私の好みの問題。比率的にオナゴの多い我が家では、将来洗面所がごった返すことは必至と読んでの提案。水周りが広いとリッチな気分になれるし♪(←またも軽いノリ)
引き戸については、私もう引き戸マニアでして(笑)。何でも全開で開けっ放し〜が好きなんですよ。閉めなくてはいけないとき以外は常に全開が我が家のモットー。そのためには引き戸って素晴らしいと思うんですよ〜。これぞ日本の合理的な美でしょう?ってデザイン的にはドアの方がすっきりと取り付けられてきれいみたいですが。私は襖とか引き戸ってのが大好きなのよ。というわけでできる限り引き戸…。ただしこれは結構構造的に無理な場合が多いとのこと。善処していただくということで。

「私たちが馬鹿でした」宣言に、嫌な顔ひとつせずニコニコと笑う設計A氏。「いいんですよ。何度でも。この間こう言ったじゃないですか…なんて怒ったりしませんから」と、その場でサクサクと新しいプランを引きはじめる…。手間を惜しまずパースもサクサクと描く。その作業量の多さと言ったら。「手早く仕事終わらせちゃおうぜ〜」と、合理性を優先している普段の自分の仕事ぶりが少々恥ずかしくなる丁寧さ。
要望を一つ伝えると「それは何で?」と必ず理由を聞く癖は変わらず。最初は「うっ。突っ込むなよ」と思いましたが、でもこれとっても大事。何でそうしようと思ったのか?を理解してもらえれば、素人考えを超えたプロの提案を得ることがこちらもできます。
でも「キッチンはL型がいいな」「それは何で?」「え?あ?ちょっと憧れて…」みたいな阿呆な受け答えが多いのも事実でして(笑)。そんなとき彼は必ず「憧れは大事です」と笑顔(きゃっ)。その利点や欠点を手取り足取り事細かに教えてくれます。ショールームのあっちやこっちをウロウロしながら「ほら。こんな感じの幅です。お鍋置いてみてください」と、彼は棚をがたごと動かしたり、メジャーを持って走り回り、私は鍋を持って右へ左へがさごそ(笑)。こうやって一個ずつ実地検分していくことで己の憧れが本当に単なる憧れなのか、是非とも実現すべき憧れなのかがわかってきます。
そんなこんなをやっていると打ち合わせの3〜4時間なんてあっという間。こんなに集中してイッコのことを考えたことって近年なかった気がするぞ…というわけで、自分にもまだまだソコソコの集中力があったことを知る。なんとなく先生に何か教わっている生徒の気分になっているのは…私たちがあまりに阿呆な所為?じゃないですよねえ…。

「次回までにまた間取り図をお届けにあがりますから」と営業I氏。この長い打ち合わせで、ひたすら横に座ってうんうんと頷きながら議事録を取っています。ときどき「敏腕設計氏にI君はどう?高校生ぐらいのころに女の子の部屋に上がり込んだりしてた?」と、真顔でくだらないことを聞かれ「え?あ?ボクですか?」とシドロモドロのかわいい一面も発覚(すいません変なことしか記憶に残らないんです)。クールダンディな設計A氏も素敵ですが、軽く天然おちゃめ入っている営業I氏もかわいいです(何の話だ?)。

揺れ動く乙女心を抱えたまま、1週間後の再会を誓い合って帰路についたのでした。

注:あくまでこれは家を新築する話であり、恋愛話ではありません(殴)。