新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

花よりもなほ

忙しいんじゃなかったんかい!とセルフツッコミをしつつ映画館へ。

いいですねえ。いいですよ。これ。ほっこりした気持ちになれます。是枝監督ということで、もしかして私の苦手な感じだったらどうしよう?なんて思ったりもしたんですけどね。「誰も知らない」をちゃんと観てもいないのに、私は勝手にイメージを作ってしまっていたみたいです。ごめんなさい。

人が「生きている」「生活している」という感じがすごくいきいきと伝わってくる映画でした。重くもなく軽くもなく、そこにいる人全員がちゃんと生きている感じ。説明的でもなく、かといってそれほど叙情的でもなく、この絶妙なバランス!岡田くん演じる青木宗左衛門も脂ぎっているわけでもなく、悩んでいるわけでもなく、すかしているわけでもなく。特別「ええ話や〜」って言うほどでもなく。
って、書くと「どこがいいんだ?」となってしまいそうですけれど、でもこれがある種のリアリティかなと。赤穂浪士討ち入りとリンクして話が進んでいるのにこの軽妙さ。
役者さんがまた皆いいんですよ。すっごく。
以下多少のネタバレ含みます。





かっこいいことはもう重々承知の岡田くんですが、こんな優しい表情をするんだなあ…としみじみ。碁をさしながら父親のことを語る表情も、優しく子どもの手を握る仕草も、最後の最後振り向く姿も。この表情がなければ彼の一連の行動の説明がつかないもんねえ。彼(宗左)の性格を表すステキな表情満載です。つか、表情がすべて!っていうくらいに映画の中ではぴりりと効いてます。何しろ仇討ちの話なのに殺陣とかないから!
個人的にかなり萌えた(笑)のは、そで吉。加瀬亮くんですよ。「いやん!そういうのはO氏の専売特許♪(←バカ)」と言いたくなるような色気のある排他的な役を見事に演じてます。ハチクロの真山といい、ちょっと俯瞰でものを見るような色気のある役にぴったりになってるかも〜。他の登場人物とは一線を画したような存在感がステキ♪実はこの人のシーンが一番ぐっときた!
岡田くんが仇討ちのため捜していた敵役の金沢十兵衛は浅野忠信さん。少ないセリフ&登場シーンでこちらも存在感どっしり。あのーなんというかね、あの頭の下げ方を見たら仇討ちをやめようという気持ちになるのもわかる。その息子役の子がまたいいのよ。
で、この3人はとにかくカッコイイんですが、実はこの映画の魅力はそっちじゃなくて、長屋に住む人たちの方!
古田新太さんはあの着流し姿で立ってられたら完全にやくざものなんですが、その実家がお寺だとは…。木村祐一さんもすごいですよねえ。真理をついているというか。こういう役どころに真理を言わせてしまうのはある種あざとい感じもしなくはないんですが、それが自然に感じられるのは役者さんの力量なのか。監督の上手さなのか。香川照之さんは別の意味でこの映画の真ん中にいるような感じの人。人情話になりそうなところを寸止めできゅっと引き締めてくれる。武士の矜持を笑わせながら見せてくれる人。
女性では宮沢りえちゃん(なぜかちゃん付けを許して)はやっぱりかわいいなあ。きれいなんだけどかわいさがありますね、この人は。肥溜めに一輪の華です。やっぱり未亡人にはそういう色気があるものよね(笑)。岡田くんと子どもを挟んでの3ショットがまたステキなシルエット。田畑智子ちゃんは、かわいいのに肥溜めの華にならないステキな馴染み方。でも皆が狙ってるのはこっちなんだな〜と。さらっと受け流してしまいそうになりますが、この裏長屋の恋愛模様もなかなかいいです。
もう書ききれませんが、ここに書いていない人もいい感じです。出番の少ない人ほどぴりっと効いてるし。あ、そうそう!寺島進さんもこれがまたキーパーソンで!何気に物凄くかっこいいショットもありで。鉢金がよくお似合いなのですよ。

こんな話があってもいいよね?と思う、程よくあたたかい映画でした。もう1回観てもいいな〜。

あ、何気に岡田くんの月代伸びかけ頭がかわいかったです(笑)。