新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

初心を忘れてました

フリーで仕事をしている私ですが、コンスタントにお仕事をいただける会社というのがあって、さすがに10年越しでお付き合いをしていると先方も、この人にはアッチ系、この人にはコッチ系というように得意なものを割り当ててくださるようになるものみたいで。望んで選り好みできるほどフリーは立場が偉くないので(もちろん実力の問題もあるんだけど)、いただけるものはなりふり構わずやらせていただいているつもりでしたが、振ってくださっている仕事そのものが私の喜びそうなものに偏っていたことを実感しました。

同じ編プロで長くお仕事をされているライターさんが、事情でしばらく休業することになり、急遽その方向けの仕事がドドドと押し寄せてきたんです。その方、とても腰が低くて我慢強くて、不平不満の一言も言わないという、私と正反対のタイプの方(汗)。日ごろからお付き合いさせていただいているので「そんなときは私がやるわよっ!」と助け舟を出したはずの私がアップアップという非常事態に(笑)。明らかに浸水してます。

お気づきの方ももしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、私は「同じネタでも切り口でどーとでもなるわい!」というアイディア&イキオイ勝負タイプでして。「資料不足も読み方次第、クライアントの無理難題も書き方次第で乗り越えてやる!」という若干手品にも似たカラクリを駆使して「一見おもしろげ」に仕上げるのを得意としているため、フリーペーパーの企画とか、企業出版物のプレゼンとか、そういった出版物ゼロ号のイメージ作りとか、ポスターのキャッチコピーだとか、つまり決まりの少ない仕事が多かったんです。ところが彼女が抱えていた仕事と言えば、特殊法人の会報(読者層70代男性)…だとか行政機関の刊行物(読者層ありとあらゆる男女)だとか、そういうのばかり。乱暴に言うと、私自身が読むと3行で意味がわからなくなり、5行で眠くなるという特殊な分野のものでして。それを私自身が書くというのは拷問にも似たものが(汗)。
面白くしちゃいけない。余計な形容詞はいらない。イメージ的な文章はダメ。万人に正確に伝えなくちゃダメ。と、規約盛りだくさん。昔は確かにそういうのも書いていたんですけどねえ。だからこそ私にお鉢が回ってきたはずなのに。10年の歳月はすっかり私を偏った贅沢ダメ人間にしてしまったみたいです。

得意なものを伸ばすのは一番いいことだと思いますが、そんな贅沢言ってられる状況じゃない。そういう贅沢はデキル人しか言っちゃいけない。きっと本当にデキル人は苦手なものも標準以上にはこなすものでしょう。つまりは俊輔の右足と一緒だ(違うか?)。左足が黄金なら右足だってブリキじゃない。銀くらいのレベルにはある。

というわけで、現在右足を引き攣らせながら特訓中。本番で特訓という無茶苦茶な展開ですが、なんとかせねばなるまい。茨の道(涙)。