新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

謎が解けた

けど気分が悪いぞ!ということがありました。

妙な仕事があったんですね。いつもお世話になる編プロさんがくれたもので、企画コンペ。デザイナーさんや編集さんたちと打ち合わせをし、いつもの調子でやって提出。この間一晩。ちとタイトすぎるスケジュールだなあとは思いつつ、でもやる。それから数日後、やっとデザインがあがったというので見に行く。するととても彼のものとは思えない「なんじゃこりゃ?」なモンが出来上がっておりまして。

事情を聞いてみると実はその編プロとクライアントの間にもう1社印刷会社が挟まっていたんですね。で、そこの担当さんが後から「デザインはうちでやります」と仰ったのだそう。そりゃまあ別に自由なんでいいんですが、どうやらその印刷会社さんにはオペレータさんはいてもデザイナーと呼べる人はいなかったみたいで、いわば初めてのチャレンジだったんですねえ。まあでもしょうがない。初めてなのでデザインにとっても時間が掛かってしまう。なのでこっちは2時間ですべての原稿を書くとか、そういう荒業もやってなんとか期日に間に合わせたわけです。これ自体もうちょっと早く言ってくれれば直接打ち合わせするとか、無駄な直しを省くとかできたのに…とも思ったけど、まあそうなっちまったもんはしょうがない。「いやあ、間に合ってよかったわ」という状況だったんです。

結局プレゼンにもその印刷会社さんが「自分で行って来る。初めてなので、説明しやすいようにメモをくれ」というので、企画書にどんなことをアピールしたらいいのか、そりゃーお芝居の台本のごとくいろいろとネタを書き込んで渡しました。

結果落選。

そんなもんですよね。何社も来て、皆百戦錬磨の人たちばっかり。どんなにイイ!と思えるものを出したところで落ちるものは落ちる。だもの「突貫工事だったし、初めてなのに直接デザイナーさんに会うこともできなかったし、意志の疎通もイマイチだった」というものを持っていって通るはずがない。世の中は厳しい。当たり前ですよねえ。

しかしここで大問題が起きてしまった。

「企画料は払わない」とその印刷会社は言い出したのです。うひゃあ、これにはびっくり。私は完全にフリーなのですが、例えその企画が通っても通らなくても企画料というのをいただきます。もちろんケースバイケースですが、通ったらいっぱいもらえて、通らなかったら少ししかもらえない。だから当然一生懸命通るような企画を考える。可能であれば取るために自分でプレゼンにも行く。仕事としては当たり前のことですよね。しかし印刷会社さんはその料金を渋り始めたのです。

私自身は編プロからもらった仕事なので、そこで料金が支払われても支払われなくても、編プロさんからいつも通りの企画料をいただかなくちゃいけないんですが、「いやあ、まいっちゃいました」と社長さんに泣きつかれると心情的に貰いにくくなってきちゃう。「いやいや支払いますけどね」と社長さんは苦い顔。同情はするけどそれじゃあビジネスは成り立たん。いろいろ聞いてみたらその印刷会社さん、デザインを自分たちでやったのも、プレゼンに自分で行ったのも、コストダウンのためだったのだとか。聞いて呆れます。

だったら最初からプランニングも自分たちでやればよかったのに…。でもどうやらプランニングという「アイディア」は無料だと勝手に思っているのです。もちろんそれがひどい手抜きだとか、満足できないものだったというのならばディスカウントされるのもやむなしですけど。でも企画の打ち合わせには姿を見せず、意思の提示はなく、その上数度の方向転換。先方に良いものを作ろうという意志は感じられなかったんですけどねえ。まあそれでも私の企画がヘボかったための落選だとしましょう。それでももしもそう思っていたならプレゼン前に言って欲しい。「あんたの企画はダメだよ」と「これじゃ通らないよ」と。「通らなければ支払わないよ」と。ならば百歩譲ってノーギャラでもいい。全部終わってからそんなことを言い出すって、ちょっと汚いぞと思うのです。そもそも編プロとどういう話で進めていたのか、ちょっと訝しい。
そもそも自分たちでできないから他所へ頼んだんでしょうに…。何かどこかボタンを掛け違えている気がしてならない。

努力すれば報われるなんて、そんな甘っちょろいことはこれっぽっちも思っちゃいません。むしろ「努力なんてもんに値段はない」と思っています。そうやってフリーの人は仕事をしているんです。例えばこの仕事をきっかけにして今後一切仕事をもらえなくなったとしても、私は文句など言えない。自分の仕事の評価がそういうモノなのだと思って納得するしかない。いくら頑張ってもダメなもんはダメってことも覚悟してる。でも逆に言えば、常にそういう背水の陣で仕事をしているからこそどの仕事も手を抜くことなど許されない。別に同情して欲しいわけでもなく、そういうやり方を私は選んでいるのだからそれでいいんだけど。

編プロの社長さんは言ってました。「まさかそんな馬鹿なことを言い出すとは思わなくて」って。読みが甘かったんですね。初めてお付き合いする印刷会社だったそうです。

何故こんな変なことになっていたのか、納得はいきましたけどもねえ、どうにも気分が悪くてしょうがない…という話でした。