新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

現実なんだな

別荘を貸し出すことで少しでも協力したいという方が結構いらっしゃるという話。
まだまだ続いているようで、昨日の記事でも取り上げられていました。

ホームステイや別荘貸し出し 個人の避難支援も広がる

そして私の両親もそんなことでもお役にたてるならと役場の方に登録をしたという話「別荘」をこの間書きました。

せっかくなので、我が家のその後の経緯を書いておこうと思います。というか、この事実を記しておきたいというきもちになったので…。


先日、実は借りてくださるという方がいらっしゃいました。この貸出しは町が仲立ちをしてくれるわけではないので、情報を得た方から直接ご連絡をいただき、双方折り合いがつけば成立というカタチになります。その方は福島から原発の関係で避難を余儀なくされたご一家だったようです。もちろん我が家はどんな方であってもお役に立てるなら嬉しいことなので大歓迎。
父はその方々が到着する前にと取り急ぎ物資を携えて別荘へ。掃除をして地震で少し痛んだところを手入れして、私物を片付け冷蔵庫の中味の点検…などと、出来る範囲ではありますが準備をしておりました。お迎えして薪ストーブの使い方を教えてあげなくちゃ…なんて言ってて。娘たちは別荘を借りてもらえることがとても嬉しかったようで、そのご一家にあてた手紙を書き、おじいちゃん(父)に託したりして。
しかし、結果的にそのご一家にお貸しすることはできませんでした。その理由を聞いて私は正直なところ愕然としました。こんなことがあっていいの?という苛立ちと、あるんだろうなあ〜という諦めと。やるせない気持ちでいっぱい。プライバシーに関わることですし、父も「深くは聞けなかった」と言うので、本当に抽象的かつ掻い摘んだ話を書いておきます。


そのご一家にはお子さんがいらしたそうです。そのお子さんにはとある事情があって、避難所での多人数での暮らしは不可能とのこと。ご本人も辛いでしょうし、周囲の方にご迷惑をかけてしまう…というようなことも恐らく親御さんは考えていらっしゃるでしょう(←これはあくまで私の憶測)。それで、御親戚のお宅に身を寄せてらしたようなのですが、やはりそれも限界とのこと。そこでウチの別荘をみつけてくださったというのが成り行き。
林に囲まれたような静かなところだし、小さいけれどプライバシーのある一戸建て。私には同じような事情を抱えた親しい友人がいるので、状況は理解できるつもりです。父もそう言う事情なら尚更是非にと飛んで行ったのですが、そこに一本の電話。それがキャンセルのお知らせでした。
なんでも、そのお子さんを近くの学校が受け入れてくれないとのこと。理由はそのお子さんが抱えている事情にあるそうです。二校あって二校とも受け入れられないと。
その話を電話でしてくる父の声が本当に寂しそうで悲しそうで、それでいて私の知る父ではないかのような優しい穏やかなもので、なんだか胸がいっぱいになってしまいました。「うちの孫たちは皆健康で元気に毎日学校に行けて、本当にそれだけで幸せだね。それだけでいいね」なんて言ってました。普段そんなことを私に対してわざわざ口にする父ではないので、余程身に堪えたのでしょう。
役場の問題なのか、学校の問題なのか、教育委員会の問題なのか、はたまた文部科学省の問題なのか。私はそういった方面に詳しくないので、それが正当なことなのか理不尽なことなのかも冷静に判断することはできません。
でも長期にわたるであろう苦しい避難生活の中で、なんとかやっていこうと見出した道筋なのに、それを簡単に「編入(転入)は認められません」という結論で白紙にしてしまえる日本の教育ってなんだろう?誰もが義務教育をきちんと受けられるのが日本の素晴らしいところなんじゃないの?日本がひとつになって頑張らなくちゃもうやってけないよ…っていうときに、弱者に対してその判断はちょっとあまりにも悲しいんじゃない?なんて思うのは、私もまだまだ青いんでしょうか。
もちろん学校側にも言い分があるでしょう。体制が整っていなければ無理、責任が持てない…というようなこともあるでしょうし。情に流されてどうにかできる問題じゃないのもわかります。本当は受け入れたいのに断腸の思いで断ったのかもしれません。けれども受け入れられないという結論は、そのご一家にとってはそれがすべて。そしてすごく心が痛むのは、きっとそういう人が一人や二人じゃないだろうということ。親御さんの気持ちを思うとやりきれない…。



父からの電話を切って、私にはもう一仕事がありました。娘たちに説明しないと…。大人の事情をわかりやすく理路整然と説明する力が私にはないので、理不尽さを抱えつつそのままを伝えました。彼女たちは「なら千葉に来れば!うちの学校ならそういう子も入れるよ」と、無邪気なもの。「住むところはどうするの?ただで借りられるお家はこのへんにはないんだよ」と言えば「私たちがおばあちゃんちに行けば、この家が空くじゃん?」って。千葉は福島からは遠すぎるし、モノを移動させるように簡単に人を移動させることはできないという説明に娘たちが納得したかどうか。そういうことで解決はできないんだよ…ということ、わかってくれただろうか。とりあえず締めの言葉は「あなたたちは学校に行けるんだよ。それだけで幸せなことなんだから、文句言わずにどんなことでも頑張れ!」と強引に(笑)。


今は、そのご一家が快適とは言えなくとも安心して暮らせる場所をみつけられることを祈るばかり。それしかできない無知で無力な自分です。


そして父はまだ別荘の手入れをしているようで帰ってきません(笑)。次の方がいらっしゃる前に、壊れた薪置き場を完全復活させる気でいるらしいです。何かしていたいんでしょう。是非とも床や窓もピカピカに磨いておいて欲しいものです(笑)。