新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

雨の塔

雨の塔

雨の塔

最近気に入った作家さんのもの。吉原ものとか戦時中のものとか読みましたが、これは現代もの。しかも10代の若い女の子の話。しかも男の子の登場はほぼ皆無。というか、主人公である4人の女の子以外全然出てこないという…。場所はお金持ちの子しか入れない、外界との接点を持たない全寮制の女子大。
というわけで、物凄い閉塞感のある話。それだけの閉塞感がある割りに飽きなかったのが不思議。

面白いんだか面白くないんだかわからない話だったな。自分で読んでどっちかわからないっていうのも変なんだけど。読み終わってなんだか妙な物足りなさを感じるんだけど、その「足らない感じ」こそが、これに出てくる女の子たちの心なのかな…と思ったりして。何かが足りない状態だと、無意識にそこを満たそうとする行動に出るんですかねえ、人というのは。例えそれがその人にとっての「普通」だったとしても、やっぱり心は無意識にその欠如を補うアイテムを探すのかも。
なんていうことをじんめりと湿った雰囲気の中で思ってしまう。雨の日に読むと余計にじんめりするけど。
「最高に面白い!」っていう作品よりも、こういうちょっと足りない感じの話の方が繰り返し読む気にはなれるかもしれないな…と思う一冊。