新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

青い文学 走れメロス 前編

走れメロスと聞けばそりゃーあの子供のころに読まされたあの話…てなわけで、あれが一体どんなふうに描かれるのが楽しみでした。だって…あれって子供心に「なんだこのわかりやすい友情物語は」と思った覚えが(笑)。まあ思い起こせば自分はあの物語の行間を読まなかったんだな…ってことになるんですが、表層をだけをとると本当にわっかりやすい話なんですよねえ。それを一体どうやってアニメに?陳腐な話になっちゃったりしないの?それにさあ…いきなり外国が舞台かい?とか思ってたわけですが、違いました。なるほどー!こういう仕掛けなっているんだ〜。

主人公メロスをやるのが堺さんではあるんですが、この物語の場合本当の意味での主人公はどうやら作家の高田。その高田が走れメロスを舞台にする脚本を依頼されて取り組む…というところから話は始まり。劇中劇のような形で走れメロスが上演されており、その上演されているメロスの声が堺さん…という…文字にすると大層わかりにくい感じですが、見てたらわかりやすい(笑)。
その高田、どうやら自分の過去にメロスの話と被る部分があるらしく、脚本を書きながら葛藤しております。そうか…これだ…私に足らなかったのは。
多かれ少なかれだれしもが人を欺いてしまったり、欺かざるをえなかったり、またその逆もあったりするわけで、そういう部分とメロスをダブらせて「ふうむ」と考える…というのが走れメロスなんですね、きっと。高田の葛藤や過去への思いというのが、見る人の自分の過去や現在に被ってくるときっとすごくメロスの話は面白いものに見えてくるのでしょう。
ともすればおとぎ話になってしまいそうな原作をこうやって見せるんですねえ…すごいなー。メロスのように美しい話になるのかならないのか(そもそも走れメロスが美しい話なのかどうか…から考え直しなくなる)、それとも現実はそうはいかないというビターな話になるのか、そういうところも含めて原作を知っているかどうかなんて関係のない面白い展開。


堺さんはと言うと、つまり劇中劇の中で主人公を演じているので、考えてみればもうこれは真骨頂です。声優として…というよりは舞台役者としての声。よく通る若干高めの声が王と戦い、そして妹に語りかける…メロスだ(笑)。一瞬「高田役の方が堺さんにはぴったりなんじゃないかしら?」とも思うわけですが、でもそれはもうここまでの話で存分に楽しませてもらったし。寧ろメロス役の方が堺さんの声である意味があるというもの。なんともなしに堺さんの舞台を見るような気分にすら(ファンフィルター強)。うむ。後編を楽しみにいたします。