閃光の新選組
気になっていたくせにほったらかしになっていた一冊。
- 作者: 伊東成郎
- 出版社/メーカー: 新人物往来社
- 発売日: 2006/05
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
全体には、研究書でありながら伊東氏の見解および表現がちょこっとロマンチ入っているのが私はツボです。正しいのか?事実なのか?は、さておき、さまざまな断片から思いを馳せるってのがやっぱりいいですよねえ…。それが愛情だもの。斎藤さんの石畳なんて…もう。ロマンチ万歳!
その斎藤さんについて書かれた「斎藤一の明治」の項も私好み。永倉さんとの対比で、明治の生き方の違いを指摘されてます。
甲陽鎮撫隊後も近藤さんや土方さんと行動を共にし、流山後会津で戦い抜いた斎藤さんはある種「完全燃焼」していたと。しかも西南戦争にも赴いているわけで(傷も受けて)。つまり彼はその時々戦い抜いてきたため、明治の世沈黙したんじゃないかと。
一方の永倉さんは、流山前で袂を分かっている。これは彼にとって「終生の痛恨事」だったんじゃないかと書かれています。
そう言われてみると確かにそう思えてくる。近藤さんの投降そして斬首という結末があるとわかっていたら、永倉さんはあそこで離脱しなかったかも…なんて歴史に「たられば」は禁物ですが、まあそういうことでしょうか。後悔の念があるからこそ慰霊墓建立事業に邁進したのでは?と。
そう考えると、警視局に身をおいた斎藤さんの痛みもわかるけど、永倉さんの明治の生き方にも深い痛みを感じます。慰霊することでしか戦いを終わらせられなくなっていたのか…。そう思うと、日清戦争への従軍を希望したあたりにも合点がいきますし。心の中でずっと戦い続けてきたのかな。
今まであまり永倉さん視点で明治を見ていなかった自分をちょいと反省しました。