新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

青い文学 走れメロス 後編

面白かった。素直に普通に面白かった!どこにすごく感動した〜とか、ここがすごかった〜とか、堺さんサイコーとか…そういうのはなかったけど(笑)、でも普通に楽しめて良かったです。マジで。
この主人公(?)の高田さんが、過去の自分の友人の裏切り行為を今も引きずっているために走れメロスのあのキレイゴト的なラストが書けないわけですね。世の中そんなにキレイな友情なんてあるもんか!みたいなものが胸の中にあるのでしょう…。
それはよく考えるとメロスを読んだ私の気持ちと同じだったのかもしれない。別に現実は裏切りばかりだ…なんてことは思わないけれども、初めて読んだときにもあまりにもキレイな終わり方のために「なんか童話みたい」と思ったのは子供の頃でした。
その気持ちを高田が感じて葛藤することで、なんだか妙にリアルになるんですねえ。


その高田。自分を裏切った城島の幻を見てしまい、昔のように「原稿を粗末にするな」なんて言われて、またまた心はざっくり傷ついていて。折しもその城島の奥さんと言う方から電報が…。なんと城島さん病気でもう長くはないとのこと。そして走る高田!城島に会うために走る!
あれ?メロスとセリネンティウスが入れ替わった!
なるほど。
かつて待つ側に立たされた高田は今走る側になったわけで、待つ側が辛いか、待たせる側が辛いかという主題の部分の両方を高田は知ることになったわけで。ふむふむ。
ただねえ、あのー、このおじさん二人…めちゃめちゃセンチメンタルなタイプで(笑)、お互い女々し過ぎっていうか〜、いやいやいいのよね、いいのこれで。でもちょっとイチャイチャしすぎっていうか…いやいや…そうじゃなくて…(笑)。ぶっちゃけなんかちょっと「しつこかったよねー!」とは思うのでした(スマン)。だってビミョーにBLのニホヒが(笑)。


兎も角!高田はこのメロスの結末を「駄作だよ」と笑うわけですが、その結末こそが心の救いになり、キレイゴトだけではない真実であるという…。ここまで凝ったツクリでそう言われたら「そ、そうかも…」と思ってしまうわけで。結果的に堺さんの出番が著しく少ないのは残念無念ですが、寧ろ上手い起用だと言えましょうぞ…。
いやあ〜よく通るメロスの台詞は素晴らしかった。本当に舞台で見ているような気分になっちゃうなんて…。なんだかとりとめもない感想になっちゃったな。
それにしても本当にこのメロス。人間失格と同じ太宰作品とは思い難いですわねー。