新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

官僚たちの夏最終回

なんと、なんと、なんとついにこの日が…。
片山スペシャルではないかっ(え?)。



とりあえず、最終回なので話の流れに沿って行ってみようかな(長いです・笑)。

総理にむちゃくちゃ取り入る牧、次官の座を素直に狙う牧、その牧に「そこまで総理に取り入ろうとするのはどうかと思いますよ」と乾いた笑いの片山。あれ?あ?私、初めて気づいたかも?この人、実は誰にも媚びないのがポリシー?池内総理時代にも、思えば媚びてどうにかしようという姿勢はそれほどなかったような。己のやりたいことを実現するためには手段は選ばないし、己の仕事を全うするためには嫌われても気にしない、という案外と実はもしかして孤高タイプ?故に誤解されやすいのかも〜と思ったら急にカッコよく見えてくるから自分の目なんてアテにならんなあ〜(笑)。今回、手のひら返したように見えてもおかしくない片山が、そう見えなかったのは、意外とそういうところ首尾一貫しているからかも。

病床の鮎川を見舞いつつも、シビアな意見をハッキリ言うところは宗旨替えしたわけでもないわけだし。それでも鮎川さんの資料を読み、アドバイスに従って現場周りもしちゃったりするところは、別に冷徹な男ってわけでもなかったんだな〜って、ほろり(笑)。「病人に頼まれたら断れない」とかなんとかいいわけしつつも、頑張ってるあたり、やはり若いころは勢いで突っ張ったり気取ったりしつつも、実力のある人はちゃんと月日をかけて成長していたんだな〜と。庭野のぽわぽわヘアーが若干ボリュームダウンしているように、片山も変化していたんですねえ。「鮎川さんの人徳でピンチのときに皆が一致団結した」と、西丸さんがすべてまとめてくれちゃってますけど、まさにそんな感じ。

小笠原返還の矢先、鮎川さんご臨終。
お通夜の席での皆のやりとりがこのドラマの大まとめに思えてしまった。こういう席だからこそ、皆の仕事に対する真剣な姿勢とか、熱い思いが漏れちゃったわけで。片山は語る言葉が冷静だからついつい「嫌な奴ー」と思われてしまいがちだけれども、報われない死に方をした鮎川さんのことを「無駄死」と言ったのは、もしかしたら一番鮎川さんを気の毒に思っていたからかも…と(もう片山フォローしちゃうよ)。個人がどんなに頑張っても、国があれではどうにもならないという歯がゆい思いも持っているんでしょうし。繊維業界に化学繊維導入をすすめたりと、業界そのものを育てる努力もしてきたわけだから。鮎川さんの前でだからこそ、きれいごとで済まさない、はっきりと信念を伝えたかったんではないかと。

それやらこれやら間は端折って風越退官、牧が次官に。せっかく悲願の次官になった割に、「ぼくの法案」的なものを推し進める純粋さも既に失っている様子。もったいないなあ〜。この日のために後ろ指も指されたんだから、ここぞとばかりにオトコを見せれば「嫌なやつだけど生き方としてはアリ」と思えただろうに。出世を目標にしてしまった人の末路…ってやつなのかなあ。

そして牧の下した人事に異論を唱えたのが片山。庭野の肩を持つわけじゃないけど、牧のやり方にも文句は言う。どーしたんすか…今回の片山はめちゃめちゃオトコマエじゃないの(笑)。牧は片山を同類だと思いたいみたいだけど、どうやら器が違う様子。総理との話を聞いていると、牧も間違ったことはわかってるんですよねえ、でもそれを主張する強さをなくしてしまっているんだなあ…。
そんな総理と牧のラインを疑って、庭野の草の根的仕事を不毛だと読んだあたり、片山はやっぱりデキル人間なのかもねえ。そこから庭野を救ってあげるべきだと、ライバルの行く末を案じるあたりは、駆け引きとかを超えた、マトモに仕事できる人間が好きなんだな…というわかりやすいシビアさです。
そして最高の決めゼリフは、


「僕はあなたや須藤総理のように、アメリカに国を売ったりはしない」


片山。良く言った(涙)。クールな片山が言うからこそ、なおさらなんだか真実味が増すってもんです。

さてさて。片山語りもこのへんまで。庭野に話題は移ります。
オカヤのざこばさんがタイへ行くという話をしに庭野のところへ。行政を頼っていたらダメ。自分でなんとかしないと…という言葉が重たい。片山の言っていたことがそのまんま。ううむ。これが国と人間が成長するっていうことなんですかねえ。片山には確かに先を見通す力があったのかも。それが先過ぎて、理解を得られなかったために若いころはイマイチ輝けなかったのかな。逆にみると庭野は目の前のことに一生懸命になりすぎて、大きな流れが読めなかったとも言えるし。あれ、話がまた片山に戻ってる。いやいや、そんな話を聞いている庭野の表情。目の前で痛烈に通産省批判をされるのを、甘んじて聞いている。これまでの庭野だったら「待ってくださいオカヤさん」って熱く今後の話でもしたでしょうに。最早それも何度も通じないことを悟っているわけですね。情熱で説得したところで、それが必ずしも正しい結論を導かないというのを、長年かけて知ったわけです。そんな転機を迎えた庭野くん。

一番の見せ場!片山スペシャルの中での庭野スペシャル♪

看板でボコボコにされて流血する庭野。ステキじゃありませんか(笑)。てか、機動隊もデモ隊排除は当然だけど、なんでボコボコの官僚と元次官を助けないのだ(笑)。いやいや、そんな細かいことはどーでもいいか。助けだして医務室に連れて行っちゃったら、空を仰げないもんね。
「少し休んでいいですか…疲れました」という庭野の言葉は、信念を持って戦い続けることの難しさを思い知らせますねえ。見返りや成功を求めているわけではなくても、頑張ったことが報われない不毛さに疲れるのは人として当然だし。その不毛さを早々に味わい、体制側につくことを覚えた牧。もっと俯瞰で眺め己が傷つくことを防ぎながら戦う片山。認められたいわけじゃないけど、「己の努力が実を結ばない=弱者を何度も苦しめる」という構図の中で、現実を認めざるを得ない庭野。
片山はきっと庭野が鮎川さんみたいになるのを懸念しているんでしょうねえ。
その片山が次官になったのだから、今後はもしかすると庭野もお休みという名の外国でのお勉強なんかに精出しちゃったりして(笑)。戻ってきたらすごい法案なんかを考えちゃってるかもしれないわ(誰だよそれ・笑)。

国内産業保護派が最終的に歴史の表では負けるということは、今の日本を知っていればわかっていたことだから、そちらが主役だというのは敗者の美学的なドラマなのかな〜とおぼろげに思っておりました。でも、そんな小さな勝敗ではなくて、もっと大きな「国とはどうあるべきなのか?」というレベルで答えの出ていない今の日本につながるお話だったんだなあ〜と、大きく曖昧にまとめて「ああ楽しかった」と終わりにしたいと思います(笑)。


最後に最終回の庭野。
鮎川さんご臨終のときの涙。お通夜での片山とのとっくみあい。繊維局長に事実上降格されたときの諦めのような表情。総理に直談判するときの鋭い瞳。過労による腰痛(違)で倒れる庭野。抗議団体がやってくるのを窓から見下ろす庭野の表情。
どれもこれも「うほーん」と思わせる庭野三昧ではありました。でもやっぱり最後にボッコボコにされたところが最高だったかなあ…。血糊もうちょっと多めでも良かったのに(笑)。無言でも良かったのに。いてもたってもいられずに駆けつけてしまって一緒に流血してる風越さんの傍らでバタリと倒れ、何も語らずにヘラリと笑顔を見せてくれたらそれだけでご飯3杯いけたかも。んにゃ、それじゃ過剰演出のドラマになってしまうか。休みたくなっちゃった庭野が風越に謝る。別に謝る必要ないよー!と、ついつい拳を握った人は多いんじゃないかと思うんですが、そんなところまで最後まで絶妙なリアル感があって面白いドラマでした♪