新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

家って何?

家を建てるということそのものが既に決まっていて、土地はそこそこの広さのものが用意されていて、建てるためのローンの借り入れも無理のない範囲でできることがわかっているという状態のとき。さあ!設計しましょう〜!となって、一番優先するのはどんなことでしょうねえ?
部屋の広さか?日当たりか?風通しか?プライバシーか?収納力か?はたまた全体の雰囲気か?



というような、非常に漠然としたことを考えた先日の日曜日。我が家を設計してくれたクールダンディーA氏が、現在上記のような状況で設計に取り掛かっているものの座礁しかかっているというお客様ご夫婦と一緒に我が家を訪れてくれました。
「参考に見させてください」と言われていただけなので、私はてっきりもう間取りなどは決まっていて、床材や壁紙選び、キッチン周りの装備や細かい装飾など、具体的な部材などが見たいのかな?って勝手に想像しておりましたが、どうやらその手前の状態らしい。間取りは何通りも作っているのだけれども、どうしても固まらないみたい。打ち合わせのたびに「やっぱりお風呂は広くしたいな」とか「どうしても一階に和室を作りたいな」とか「キッチンはやっぱり対面に」なんて新たなことを思ってしまうと、二転三転していって自分の中にも矛盾が生まれてきてしまうんですね。
たとえばキッチンに大量の収納を備えて、パントリーなんかもほしくて、ついでにゴミ捨てが楽なように勝手口もつくって、朝日が注ぎ込む明るい窓が欲しくて、だけど子供がお手伝いできるようにアイランド型にしたくて、でもコンロが見えるのは嫌で…なんて思って全部ができるハズがありませんっ。いや、こうやって書いてみるとできそうに思えるんですが、実際に図面を引いてみると、無理だな〜ってことになります。これを全部かなえようとすると、今度はその隣のダイニングの理想が崩れたり、ダイニングが崩れるとリビングの理想も崩れて、そのために玄関からの動線が妙なことになったり…と、どんどんつじつまが合わなくなっていって、キッチンに大量収納と勝手口が欲しかっただけなのに…なぜかくつろげないリビングになってる…という状況になったりなんか。
いわゆる風が吹くと桶屋が儲かる方式の話をマイナスにしていったような連鎖ですよ。いや、違うんだけど、そうなんですよ(どっちなんだい・笑)。極論すると「眺めのいいお風呂を作ろうとしただけなのに、子供部屋がリビングから一番遠い玄関横になってしまって、娘が年頃になったときに見知らぬ男が勝手に忍びこんでも親が気付かない構造の家になってしまった。しかもお風呂に入るのはいつも夜中なので、外が見えるのは昼間風呂掃除するときだけじゃん?」的な間違いを犯しがち。ええ、そうなりそうになったアホな家があるんですよ〜ここに(笑)。
そういう設計を一枚引いてもらうことで「私は家に何を求めてるんだろ?」ってことに気づかされます。きっと設計さんもそれを承知の上で、無駄な設計を引いてくれるのだと思います。ですが!それを修正しようとして、ドンドンドンドン妙なスパイラルにはまっていってしまうことがままあるんだそうで。まさにそういう状況のお客様ご夫婦がお見えになったのでした。
一通り我が家をご見学いただきましたが、具体的にそこから具体的にピン!ときたのは1か所で、寧ろそれ以外はまだ検討(見学)以前みたい。というわけで、ではなぜ設計クールダンディーA氏はそのご夫婦を我が家に連れてきたのか?

無言のうちに彼が私たちに訴えかけていたのは「家づくりで何を優先すべきか?何を基準に判断していくべきか?というのを経験者としてレクチャーしてあげて♪」ということのよう(笑)。設計さんがこういうことをくどくどと説明すると「この設計士は、私たちの夢をかなえる気がないのね!」と思われてしまう可能性があるわけです。そうやって声を荒げ公衆の面前で揉めまくっているご夫婦を、打ち合わせのときに何組が目撃しましたです(笑)。
運よく営業さんや設計さんと結構仲良しになれた我が家は、竣工後にオフレコでいくつかそんな話も耳にしました(もちろん彼らはプロなので、がっちりとオブラートに包んで具体的なことは言いませんけれども)。でも設計が固まらないまま、家族内で揉めて1年以上凍結状態になっている人もいるのだとか。家づくりは勢いで!という我が家では考えられない事態ですが、まあそういう人もいるのは事実。普通は新築なんて一生に一度くらいでしょうから、一球入魂で完璧なものを建てたくなるのもわかります。
でもそこをぐっとこらえて、とりあえず夫婦それぞれ要望は2〜3個くらいにとどめてみてはいかがでしょうか?そしてできればサラリーマンのご主人は要望は1個くらいにとどめて、あとは奥さまにお任せしてみるのはいかがでしょうか?と。何しろ家にいるのは奥様ですもの。つまらんこだわりを押し通して、後々住みながら10年も20年も「こんな30万もする天窓いらなかったのに。夏は暑くてしょうがないわ!」なんて奥さまに言われるのと、「やっぱりこのキッチンにしてよかった〜」と毎日美味しい食事を機嫌よく作る奥さまを眺めているのと、どっちが幸せな暮らしかってことです(当社比)。
という、我が家の恐妻ぶりをさらすような話はさすがにしませんでしたが(汗)、冷静に考えてみると家に求めているものなんて本当は2〜3個です。
我が家の場合は

  • 採光&痛風をよく(夫婦共)
  • 家族皆が一緒にわーわーできる(妻)
  • 掃除がしやすい(妻)
  • 大量の本をしまえる(夫)

ぐらいなもんです。
そりゃキッチンはステンレスがいいだの、タンクレストイレがいいだの、仕事部屋は広くしたいだの、洗面台は大きいのがいいだの細かい夢はイロイロありますが、そんなこたー瑣末なことで(そのときは大問題だったけど)あとからどーにでもなるもんです。これが叶えられないとイライラして死にそう!っていうことだけを優先させれば、案外気持ちのいい家になるもの。
住んで1年、思うのは「使い勝手の悪いところもこの家の味♪」なんてこと。そこを工夫したくて、日曜大工に精を出すのが楽しい今日この頃。無駄がいっぱいあったほうが飾ったり遊んだり工夫ができて面白いです…なんてこと、これから新築する人にはなかなかわからないとは思いますが。そんな話をするお役目をいただいた日曜日だったような気がします。

そっか、私はスッキリきれいに掃除ができていて、明るい日差しと秋風がするっと入ってくるリビングで子供たちときゃーきゃー言いながら遊べて、夫のマニアックなコレクションが散乱していなければ幸せなのだ♪ということが確認できた日なのでした。うーむ家って奥深い(違)。あらゆる意味でクールダンディA氏。ありがとう〜♪