今、何してる?
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2005/03/17
- メディア: 文庫
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去年、ほぼ日にあの人の本棚というコンテンツがあって、そこで堺さんが選んだ5冊に「もう一冊」としてオマケのように選ばれた本。角田光代さんは、堺さんも出演した「対岸の彼女」の原作者。ドラマに堺さんはちょろっとしか出てなかったんですが、ドラマそのものはちょっと夢があって、でも激しくシビアで、現実的でありながら嫌な感じのない秀作だった…と思います。出てくる女性の性格や行動パターンは決して私の好きなタイプではないんだけれども、でもそういう人が進む道をシビアに描いているところに好感を持ったというか。そう簡単にハッピーエンドにはならないよ…というある種ちょっとイジワル(とは違うかもしれないけど)な作者の視点が心地よかったような記憶があります。
そんな角田さんのエッセイ。5冊選べと言われているのにあえて6冊目を挙げたということは、案外これが一番面白いのかも?と、勘ぐって読んでみました。何しろ堺さんが
すごく共感することが多かった一冊です。
角田さんの人となりが文章からにじみ出ていて、
それが自分にとても似ているような気がして‥‥。
こちらも、ぜひ読んでみてください。
と、あまりにもひねりのないことを言っているんですもん(笑)。
結論から言うと、「あまりに面白くなくて途中で投げ出した」という状態になりました(笑)。考えてみれば友達に勧められて読んだ本で「凄く面白かった!」と思えた例がない。これって多分「面白いに違いない」っていう先入観があるからちょっと合わないだけでガックリくるんだと思うんですよ。勧めてくれた人の気持ちを考えて「面白がらなくちゃ」って意気込んでいるのも良くない気がする。
結局この本もご多分に漏れず。堺さんへの愛も、黒いものを白くはできなかったと言いますか(笑)。
堺さんが似ているというのはちょっとわかる気がするんですよ(笑)。ヘンなところ(←私にとってですけど)をひらがな表記にしていたり。妙に自分を客観視して分析していたり。結論を導き出しているように見えて、なんの結論も出ていなかったり。でも決定的に違うのはそういういろいろな「自分にまつわること」を「適当に笑う」もしくは「笑い飛ばしてもらう」というゆとりがないところかなあ。
ふつうにすぎていく日々をつづった
と言い、確かに普通っぽい日常が描かれているのにもかかわらず、全然体温を感じられない…。「ああそうね、そういうことってあるある!」っていう共感めいたものがないと、こういう本は到底読みきれません。悲しいことに私にはそれがほとんどなかった(笑)。どれもこれも殆ど「他人事のどうでもいいこと」にしか思えない、この感性のなさ(涙)。でも感じられないモンはしょうがないよ…。ちょっとイラっとくる部分すらあるもん。
これこそソリが合わないという類なんでしょう。なんとなく端々に「私ってこういう女なのよ」という、彼女のさりげないけれども周到な自己アピールが感じられてしまって。もちろんこの本ではそれは「作家だけど普通の女性です」的なニュアンスになっていて。なのにどことなく「でもそんな私っていけてるでしょ」とそれを鼻にかけてはいませんか?と突っ込みたくなる部分があって。それがちょっと人工的に思えるのです。
共感できそうな普通っぷりを出しておいて、「わかるわ」と頷きそうになったところで「あなたとは違う」と突き放されるような感覚。そこが「笑い飛ばしてもらうゆとり」がないと感じるところ。
こう書くとなんだか悪意に満ちている感じがしますねえ。きっと相性の問題なんですよね。あくまで対岸の彼女は面白かったんですよ。だからこそなんだかガッカリ感の方が大きくてねえ。
通常つまんなかった本って、つまんなかった理由を書くのすらつまんないので、あっと言う間に記憶から消えていくんですけど、妙にひっかかってるってのは実はかなり印象深いからなんだろうなあ。それもまたひとつの存在意義かもしれない…けどやっぱり私は単純に「あはは」と笑えるエッセーの方が好き。
因みに堺さんもオススメしていたモンテーニュの「エセー」が度々登場します(笑)。