新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

「怒」その2

一昨日書いた話には続きがありました(笑)。実はここが書きたくて書いているようなもんだったりして。

事件のあった1週間くらい後に、私が一人で打ち合わせに行くことがありました。調度インテリアの話で、造作家具をどういうデザインにするか?を決めるとき。夫は仕事のため欠席で。
打ち合わせの席で、インテリアさんを待っているといの一番に営業さんがいらっしゃって「NICO様。先日は本当に申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げられる。「いやいや、あのもう済んだことですからいいですから」と、大人の対応。や、正直「もうさっさとそんな不快なことは忘れて楽しく着工しようぜ〜」っていう気分でもあったので。ぐじぐじしながら家を建てるのはつまんないし。
その後インテリアさんが登場して、家具屋さんのデザイナーさんとオナゴ3人の楽しい打ち合わせはかなり盛り上がっておりました。その盛り上がりの場にそそそっと現れたのは設計さん。「こんにちは」っと朗らかに現れた設計さんですが、そそそっと私の傍らに立ち「あの、NICOさん、本当に先日はすみませんでした。ご主人様にもよろしくお伝えください」とこちらもまた深々と何度も頭を下げられる。「いえいえ、もう済んだことですから〜」と再び同じ返答を繰り返す私。

その後です。設計さんが立ち去った後、ずんっと身を乗り出したのは、インテリアさん。「NICOさん!何かあったんですか?うちが何かしたんですか?」「あ〜いえいえ大したことじゃ…」と言葉を濁す私に彼女はまるでスッポンの如く食いついてきました。「実は…」と掻い摘んで事情を話したところ。「あああ〜〜〜〜〜。申し訳ありません。本当にすみません。ああっもう!何をやっているのかしらっ!うちの駐車場トラブルが多いんですよ!本当に全然改善されてないっ!もう!」っといつの間にか社内に対する彼女の怒りを私が「まあまあ済んだことですから」と鎮める状態に。
「きょ、今日はどうされました?車、大丈夫でした?」と、すかさず今日のことまで気にしてくださるところが素晴らしい。因みに営業&設計さんはそこまではさすがに気にしてらっしゃらない…男ってそんなもん。
実は例の一件によって、満車表示をきっちりするようになった地下駐車場。私は今回は入庫することができませんでした。でもこれは正しい対応だと思います。近くの公共駐車場に止めて、徒歩で行きました。と、それを告げると「ああ!もう!お客様がみえるってわかってるんだから!営業車外に出せばいいのに!何やってるのかしら!」と再び怒りが社内に向かうインテリアさん。「駐車料金請求してくださいね、絶対請求してください」とぺこぺこ頭を下げてくださる。
もうなんか本当に「誠意は伝わりましたよ。全部忘れましょう」と言いたい気持ちになりました。

そんなこんなで再び後日。銀行でローンを組むとき顔を出してくださったのは営業さん。長時間待つ時間があり、夫と営業さんと三人で雑談。
「実はあの件で、インテリアのSにコッテリ絞られまして…」と項垂れる。「もう!何やってんの!私になんの報告もなかったってどういうこと?社内で周知が徹底してないってことでしょう?それなのに話がこっちにこないっておかしいでしょう?」と彼女は約20分、営業さんをオフィスに立たせてみっちり説教したそうです(笑)。「20分間立たされ坊主でした」としょんぼりする営業さん。

営業さんはちょっと災難だったかなあ〜と思いますが、でもねえ、彼女みたいにお客の立場で代弁するかのごとく怒ってくれる人がいると、すごく許す気持ちになれるんですねえ。「ああこの会社の人は私たちの言いたいことわかってくれたんだ」って思うから、溜飲が下がる。単純ですが、人の気持ちってそんなもん。そういう人もいてくれてのチーム仕事なんじゃないかな…と。もちろん普段からの彼女の仕事振りが素晴らしいので、私たちも彼女を全面的に信用してるし。

そういう彼女のことを「彼女どこそこの展示場もやってて、とてもセンスがいいんですよ」と褒める設計さんがいたり、その設計さんのことを「彼はいい仕事しますから、どんどん無理難題を言っていいですよ」と言う営業さんがいたり。お互いが見えないところでそれぞれの仕事を認め合って取り組んでいるんだなっていうのが伝わってきているわけで。そのお互いが怒ったり怒られたりしているんだから、きっとこれも次のいい仕事に繋がっていくんだろうな…ってこちらは思えるわけで。寧ろ彼女の怒りはとても心地の良い、前向き発言に聞こえました。

というわけで怒りはバランスの良いチームによってすっかり納まってしまいました。お詫びのメールに「気を引き締めて着工し、ご満足していただける家になるよう一同努力します」と書いて下さったのも嬉しかった。確かにそれが一番大事だもんなあ。もしかしたら着工前に、皆の気持ちをまとめて、引き締めてくれた事件だったのかも…なんて思います。

さてさて、そんな我が家もなんとあと10日で完成です。長かったような短かったような。やっぱりあっという間だったかな…。あのメンバーにもう会えなくなってしまうんだなあと思うのが、実は結構寂しい気分だったりします。