新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

「怒」その1

我が家がお願いしたハウスメーカーさんは、たぶん日本全国どこでも建築している大手メーカーさん。木造軸組みでは最大手とかなんとか言われるようなところです。
それ故かどうかはわかりませんが、我が家を担当してくださる方々は、営業さんも設計さんもインテリアコーディネーターさんも現場担当さんも外構担当さんも皆感じのいい人ばかり。最初の出会いからして、営業さんに一目惚れで決めたようなもんですから、これは我が家としては大きなウエイトを占める部分でした。
基本は簡単なことです。たぶん社会人として当たり前のこと。きちんとあいさつしてくださったり、押し付けがましいことを言わなかったり、質問したことに的確に答えられるような知識を持っていたり、約束を守ってくれたり、うっかり守れなかったときは謝ってくれたり、ときにハッキリとプロとしての主張をしてくれたり、こちらのつまらん話に耳を傾けてくださったり。そういうことがとても感じよくて、気持ちよく大借金をする気になったわけです。
きっと大手さんだから社員教育が行き届いているんだ…と、私も夫も思っていました。しかしですね…とんでもないことも実は起きていたんです。もう時効だと思うので、ちょっとそのことについて書いてみたい…。
前フリ長いですね。
でも本題はもっと長いです(笑)。


我が家が着工を間近に控えたころのこと。あちらの事務所での打ち合わせも大詰めで、ショールームへ伺うのもこれが最後だろう?というようなとき。巨大なオフィスビルの数階がそのハウスメーカーさんのオフィス。他にも似たような業種のオフィスが各階に入っています。そのため地下駐車場は半分以上が、いろいろな会社の契約車用スペース。残りが来客者用のスペース。我が家も毎回そこに入れています。
ですがその日はどこにも止める場所がない。ぐるぐる地下駐車場を巡り巡っても、一箇所も来客者用が空いていない。この時点で本当はおかしいんですよね。スペースがないのにチケットが発券されて入場できていること自体おかしい。ですがそれは駐車場管理の問題で、テナントであるハウスメーカーさんの責任じゃないですね。
しょうがないので時間もないことだしと、そのハウスメーカーさんのネームプレートが貼られたスペースにとりあえず駐車。オフィスに伺い、応対してくれた事務のお姉さんに事情を説明。機械で上げ下ろしするタイプの二段重ね駐車場なので、上段の出し入れに差しさわりがあるだろうと思い、「大丈夫ですか?」と聞いたところ「わかりました。大丈夫です」との返答。
そこから長時間の打ち合わせ。途中一度設計さんから「アズキ色の車、NICOさんちのですか?」と問い合わせあり。我が家はシャンパンゴールド。どこをどう逆立ちしても我が家の車のことを言っているとは思えませんが、とりあえず車種とナンバーを伝えました。

はてさて、問題はこの後勃発。
3時間の打ち合わせの後地下駐車場に降りてみると、我が家の車の前に警備員さんが仁王立ち。近寄ると「お宅の車ですか?」と。見るとフロントガラスにそのハウスメーカーさんが使用するネーム入りの打ち合わせ用紙が挟まっています。そこには真っ赤なマジックで
「無断駐車で迷惑してます。車が使用できず営業活動ができません!至急連絡を!(携帯番号&名前)ナンバー控えてます!」
と殴り書き。
ぐあーんと頭の上からハンマーが殴り下ろされたような気分。脅しか?これ?ナンバー控えてますって、それって「逃げんなよ!」ってこと?逃げも隠れもしませんよ、だってお宅の客だもの。
警備の方からはその場で「このビルに用?」「何階にいたの?」「何時に止めたの?」と職務質問状態。結局そのまま駐車場管理室に連行。この時点でかなり頭は沸騰してます。なんでこんな犯罪者扱いなのさ?
と、言ってもしょうがないので、兎に角事情と経緯を説明。話してみると警備の方も困惑気味。つまり警備の方は、怒りまくったハウスメーカーの某営業さんに「この車の主を絶対に捕まえろ!」と言われていたわけですね。その車の主はそのハウスメーカーで打ち合わせ中で、ちゃんと事情も伝えてあったということなわけ。
殴り書きで記された個人の携帯電話になんて電話する気にもなれません。仮に私が違法に止めて、先方が会社として損害を被っていたのだとしても、個人の携帯に電話して済む話じゃないです。いや、そうだったら尚更個人じゃなくて、会社と話をしなくちゃいけません。それが社会の仕組みです。結局駐車場からビルの内線を使用して、警備員さんからオフィスに電話を入れてもらいました。もちろん事情説明は警備員さんから。
「お宅のお客さんでしたよ。ええと担当はIさんという方だそうで、事情もお伝えしてあったとか。今ここにいらっしゃいますけど…」という話の途中で先方は電話を切った模様。警備員さんも尻切れトンボになった電話を片手に呆然と首を傾げてらっしゃいました。
「帰っていいんですかね?」「あ、はいお帰りいただいてもいいんじゃないかと…」って、警備員さんもかなり気の毒だけど、「あんたも端から疑って尋問しまくったじゃないか…一言謝れ!このうすらトンカチがっ!」と、ここまで出掛かって食い止める。違う違う。この人も被害者だ…。
それにしたってあまりにも理不尽じゃないか?そっちの会社内の連絡ミスならば、すぐさま駐車場まで降りてきて謝ってくれてもいいぐらいじゃないか?それを自分のところの客だとわかった時点で電話を切るたーどういうことだ?あの真っ赤な殴り書きの脅し文句は、なかったことにはならないんだよ?あれが社会人の書く文章か?自分のところの客に対する口の利き方か?大体警備員さんの説明も最後まで聞かず、私たちの事情を直接聞こうともせず、電話切ってそれで終わると思ってんのか?文句があるなら出て来い!そっちこそ逃げんじゃねーぞ!

というわけで、説明もろくすっぽ聞いてもらえなかったので、誤解があるといかんと思い、一応先刻のオフィスに戻ってみました。一応こちらも大人なので「おい!某営業出て来い!」みたいなことはせず、我が家の設計担当さんに事情を逐一説明。その場で彼は謝ってくれましたが、こういうときの怒りはとどまることを知りません。
自宅に帰ってから、営業同士お互いに存在を了解しているであろう我が家の担当営業さんに、主人は長いメールを書きました。
「これがもしも契約前のことだったら、絶対お宅では家を建てません」と。そして「会社として信頼していたのに、こういう方がいらっしゃるというのは大変驚きです」と。担当さんからは、その日のうちにお詫びのメールをいただき、以後こういうことのないように社内で周知徹底させますとの返答。うん。それが社会人の対応だ。これで我が家の溜飲は下がりました。

そんなことで、着工直前に実は大変険悪な雰囲気になっておりました。

自分は何にそんなに怒っていたんだろう?と今になって考えてみると、ハウスメーカーさん内で連絡不行き届きがあったことにではなく、単純に汚い字で脅し文句のような貼り紙をされたことを不愉快に思っていたんだなと思います。そして自分の方のミスだとわかった途端の無視。なんと情けない人なんでしょうねえ。貼り紙がもっと丁寧な言葉だったら。すぐに駐車場に来て誤解があったことを理解してくれたら。「いやいや、いいんですよ。こちらこそすみませんでした」と、典型的な日本人の私はすぐさまその場で頭を下げたでしょう。

そもそもどんな事態に陥っていようとも、自分のオフィスの駐車場でのこと。ショッピングセンターじゃないんだから、「それが自社のお客さんである可能性がある」と思えない部分に既に社会人としての欠陥を感じます。もしもお客の車じゃなかったとしても、お客さんが通る駐車場だもん。こんな貼り紙見たら「何て品性の感じられない会社なんだろう」って思うでしょう。そういう想像力がまったくないその某営業さん。会社としてもこれは損害じゃないのかしら?
はてさて、その営業さん。どっかでお会いする可能性は十分にありますよ。名前も会社も部署も携帯番号もこちらは知っているんです。どっかで偶然お会いしたいものですねえ、うひひひ(←いじわる)。