新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

居眠り磐音江戸双紙

ようやっと読み終わりました。ふう〜面白かった♪このテの面白さって途切れると寂しい気持ちになりますねえ。永遠に続いていて欲しい、願わくば話なんか進まなくてもいいと思ってしまうような娯楽小説。

正直言って、ドラマより原作のほうが面白くなってしまった。原作が多様な人間を小さなエピソードに絡めながら本当に魅力的に描いているので。ドラマはその辺を端折ってストーリー展開しようとする分、ちょいと薄味。別にだからつまんないというのじゃなくて、ドラマの面白さと原作の面白さは違うんだなと思って。ヤマコーさんは次回作のことなど考えられん(by TVnavi)と言ってるけど、こういうのはシリーズが長くなればなるほど面白くなるタイプですね。キャラがたって、決め台詞を待つようになってやっとスタート♪というような。あ、時代劇は皆そういう感じかな。

小説の方は、私の好みはやっぱり江戸を舞台にした捕物部分。もしくは面白いくらいに幕閣に食い込んでしまう気持ちのいい展開。お家騒動が絡んで、結果的に磐音の地位が上がっていくというのは面白い。だけど、お家騒動そのものは捕物にくらべたらあんまり…。なんて言うのは贅沢か?
あとはやはり女性関係ですよねえ〜。白鶴絡みの頃は「ああもう!なんだこの男はそんな聞き分けの良いことでどーする!」とやきもきしたり、「やっぱ、おこんさんだよな」と拳を握ったり楽しいんですが、納まるところに納まっちゃうとつまんないですねえ(笑)。そりゃおこんさんとどうにかなったらいいのにとは思いましたが、本当にどうにかなっちゃうとなんだかちょっぴりつまんない。武家の妻らしく、お行儀良く品良く振舞うおこんさんはなんだかおこんさんじゃないみたいでねえ。やっぱ彼女の魅力はちゃきちゃきの今小町じゃないだろうか…とか。女性が好きになる女性だったと思うんだけど。今後その辺がどうなるのか。

この23巻万両ノ雪は、珍しいことにすごい量のあとがきがついてました。佐伯氏は体調を崩されて休養されるとのこと。スペインでの闘牛取材生活を記したあとがきは、なるほど磐音の生まれるバックボーンとして必要なことだったんだなあと思いました。それは闘牛に限定した話じゃなくて、きっとこの作者さんが生活の中で得たものを咀嚼して表現しているからこそ楽しめるのだなあという感じ。闘牛じゃなくても、きっと佐伯氏は人の生死を考え肌で感じて何らかの答えを導き出して、そして磐音を生み出したに違いないだろうなあと。時代小説を書くのだからと言って、時代ものの資料だけを漁ることがどれだけ表面的な行為なのかと思い知らされます。書き手の感受性や人間性こそが、登場人物の心の襞になるわけで、それがない人の書く作品の物足りなさは如何にともし難い。やっぱり私はそういった「人物」そのものを描いている作品が好きだなあと実感しました。

ついつい本編よりもあとがきに惹かれてしまった(笑)。50巻に向けてのんびり私も待つことにします。