新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

道場と出版社

このところずっと気になっていることがあります。浅学ですが幕末に興味を持ってからたまたま知って、そして以来気になっていることでして。それが気になるのには実は職業も関係しているかもしれないなあ〜とも思うことで。


それは講談社にある「野間道場」のこと。


江戸時代の町道場を移築したと言われるこの道場は、ずっと実際に稽古に使われてきたものだそうです。改築跡などもあるようですが、基本的には当時の道場の様式を受け継いでいるものと考えて良いのでしょうね。私は実際に訪れたことはないのですが、写真で見るだけでも何か想像を掻き立てるものがあります。
しかもこれが「講武所の一部だったかもしれない」などと聞いてしまったらもうなんだか心拍数が一気にあがってしまうというもので。連想ゲームのように近藤さんとか伊庭八とかが思い浮かんでしまうじゃありませんかっ。という話はおいといて。

その「講武所」だったかもしれない野間道場が今年の10月20日頃から解体されてしまうのだそうです。その名でわかるとおり、これは講談社の持ち物。部外者、しかも剣道のけの字も知らない私があれこれ言えるものではないと思いますが、でもちょっと勿体ない話ですね。移築の話もないわけでもないらしいですが、莫大な費用や敷地が必要になることを考えればそう簡単なものでもないでしょう。

ここでちょっと考えてしまうのは、その道場を所有しているのが出版社だということ。それも知らない人はいないでしょう?あの講談社さん。端くれながら出版物でご飯を食べさせてもらっている身として、出版社というのはあらゆる意味で文化を担う役割を持っていると思っています。それがイコール道場の保存かどうかと言われれば、そうとも言い切れないんですが。でも文化的遺産は壊してしまったらそこで終わり。詳しい経緯は知る由もないのですが、出版社たるものは、そういうものの価値を見出すこともできる立場じゃないのかなあーと。

同列に書くのはちょっと乱暴ですが、ホンダがF1をやる意味とか、ソニーが冷蔵庫を作らない意味とか、ちゃんとあると思うのですよね。一流の企業というのはそういう理念というものを超えた文書にならない方向性と矜持を持っているもんじゃないのかなあと。もちろんそこかしこでそういうものが壊れていっていることもわかるし、時代によって変化していくのも致し方ないだろうと思うのですが。

話がかなり逸れましたが、なんだかやりきれない気持ちになったもので…。もしかしたら、一企業としてここまで維持してきたこと、継承してきたことに寧ろ拍手を送るべきなのかもしれません。それが限界であるとしたら…と考えると言葉が出ませんが。なんらかの形でその存在価値を見出せる状況になるといいなと思い、普段のおちゃらけブログには相応しくないですが、つれづれに書いてみました。

講武書云々などの、詳しいことはこちらのブログ「夢は空我のくま」さんに細かく丁寧に書かれています。あまり物事を人様にオススメするのは得意ではない私なのですが、興味のある方はちらと覗いてみてください。私にとっては知らないことがいっぱいでした。写真がたくさんあるので、雰囲気もよくわかるんじゃないかと思います。