新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

一文字屋お紅実事件帖

特別に気に入っているというほどでもないのだけれども、結構面白いなあと思ってさくさく読めるので最近読んでいる本。築山桂さんの作品。
緒方洪庵の作品を読んだのが最初でした。その後別のシリーズを読んでみてます。

御堂筋の幻 (一文字屋お紅実事件帳)

御堂筋の幻 (一文字屋お紅実事件帳)

結構面白かったです。
なんて言うんでしょうかねえ。リアルさとアンリアルさのバランスがいいというか。あと寸止め感(笑)。もう一言余計に描写したくなるところを寸止めする感じが好きです。「ああーんもう!なんでそこで止まるのよ!」とセリフにも行動にもちょっとそう思わせるところが散りばめられていて。
好き好きですが、あんまりにも事象の連結ばっかりってのは私は好きじゃない。それがどんなに的確であっても、時代考証がきっちりしていても、贅肉が落とされたが如く研ぎ澄まされていても、何故かあんまり楽しくないんですよねえ。よく心理の推察は読者の想像に任せるような書き方されている作品もありますけれども、どーも私はその辺を突っ込んで読み取る能力に劣るらしく…。いやまじですこれ。てかね、突っ込んで読み取りたくなるような寸止め感が欲しいんですよ。あんまり突き放されるとその時点でつまんなくなっちゃう。偉い先生の作品にすら「てめー自分で悦に言ってんじゃねえよっ」と悪態つきたくなってしまう(汗)。あんまり高尚な読み手ではないかもしれないですね。
料理なら材料だけドーンじゃなくて、ちょっと下ごしらえぐらいまでしてくれていると嬉しい。材料だけだと自由すぎちゃう感じがするのです。下ごしらえしてあると「こりゃーやっぱりこうだよなあ〜」とニヤニヤしながら仕上げられるような。
変な例え出しちゃったな。

そんな寸止め感が個人的に私にぴったりの築山作品です。
舞台は大坂。母を亡くした主人公が父を頼って江戸から大坂に移ってくるところから話は始まっているので、その江戸と大坂のギャップがちょこちょこ出ていて楽しい。武士は少なく町人メインの町。この方の話の場合これは重要なキーワードになります。町を動かしているのは町人!っていうのが随所に。キャラも立ってますしねえ。何しろ主人公の女の子が元気なのがいいです(笑)。設定や展開も程よい突飛さが気持ちが良い。事件モノなんですけども、ある意味そっちはどーでも良かったりしますねえ(すみません)。人間の動き方が面白いんです。
なんだかんだ言って、面白さってどこか現実離れしたスパイスの中にある気がします。その現実離れ感を程よく盛り込みつつ、突き放しすぎない優しさがある感じ?

って、全然感想になってないやん。昔から感想文って苦手だったんだよなあ…。