新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

鴻池小町事件帳

タイトルでわかりますね。「あの」鴻池を巡る事件が描かれています。
主人公となるのは若くして後家となってしまった鴻池小町。この作者の書く女性はそれぞれに一本スジの通った「生きてる」感じのする人が多いので結構好きです。前に読んだのが禁書売り―緒方洪庵・浪華の事件帳と、北前船始末―緒方洪庵・浪華の事件帳〈2〉 (緒方洪庵・浪華の事件帳 (2))(両方とも同じ緒方洪庵のシリーズ)なので、それと比べてしまうと若干薄味な感じがしなくもない。ヒロインの設定による部分が大きいので、勢いの良い方を選ぶなら後者の緒方洪庵のシリーズ。現実感のある中で弱い女性が頑張って生きている感じがするのは前者の鴻池かなと。
どちらも男女問わずキャラがしっかり立っているタイプなので、あまり長くないお話の方がかえって面白みがあるかもしれないなと思いました。鴻池は長いのに、そういうボリューム感があまりない。喉越しよく読めると言えばそうだけど、折角の長さが読み応えになって戻ってこないのはなんだか勿体無い気がしちゃいます。私は断然緒方洪庵の方が面白かったですけども。
ではつまらなかったのかと言うと、そんなことは全然なく。好きなキャラかどうかはともかく、きりっと背筋の伸びた女性が描かれている話は読んでいて気持ちがいいです。
男性キャラも完璧じゃないんだけど皆味があっていい男なんですよ。そうそう、ほんの1行ですが、鴻池にも緒方洪庵が出てきますし。すでに長崎帰りの名医になってますけれども。