新 お気楽日記

日常を徒然なるままに。

雨に紛う

雨に紛う

雨に紛う

イバハチものということで、ずっと前から気にはなっていたんですがやっとこさ読みました。うーん。どうなの?どうなんだろう?
ストーリー的には大政奉還あたりから始まって、五稜郭までという所謂遊撃隊ものになるわけですが、視点が義妹にあたる礼子なので内容的には恋愛モノのテイストが強いでしょうか。許婚となったところから始まっているのですが、言うまでもなく時勢的にそんなことしてる場合じゃないというところに突入しておりまして、思いの遂げられない礼子の気持ちが全編通じて綴られております。


が!どうなんですか?これ。だからと言って五稜郭まで行きますか?いくら「私も伊庭の女です」とは言え、男一人を追いかけて行きますか?戦場に。それだけ好きだったとか言いたいわけですよね。なんとなく切なげに書かれているので、そんな気分にならなくもないですが…。やりすぎ感が否めないです。てか、周囲を困らせ過ぎ!
「来るな」「帰れ」というイバハチの言葉は受け入れられないのに、「死ぬな」「生きろ」というのは受け入れられるという…(いや、そんな単純な話ではないのですがね)。これを単なる迷惑千万わがまま女と言わずなんと言う?
いや、本人も言っているんですよね、ちゃんと作中で「迷惑がられるだけだ」って。だけど…って、結局どこまでもくっついて行くんですよねえ。この辺「わかっちゃいるけど」的なフォローがかえって仇になっている気がするのは単なる私の好みでしょうかね。どうせわがまま通すなら盲目的に突っ走ってくれた方が気持ちいいのに。ただその場合はきっと五稜郭で一緒に死なねばならなくなると思うけれど(そうすると史実に合わなくなっちゃうね)。
冷静なのかわがままなのか、豪胆なのか弱いのかよくわからん人になってます。まあ人間なんてそういういろんな面があるのよ…と言ってしまえばそれまでですが。なんか釈然としない女だな…。

イバハチも女々しいのか男らしいのか、その辺ちょいとブレを感じなくはないですが許容範囲。終盤函館に入ってからの彼はやたらとかっこいいです。戦うことに一直線に突き進んでいく冷たさは素晴らしい。こういう男にかえって惹かれる気持ちはわからなくもないなあ(って個人的趣味丸出し)。小太郎とやたら仲良しさんなのもツボだし。何気にこの作品で小太郎は裏主役なのでは?この人のこのキャラがなかったら成立しないぐらいの勢いがある。てか、これもまた礼子のためにいるようなキャラになってますが。

忘れちゃいけないのは函館での土方さん。またこれが大人のいい男に描かれているんですよねえ…。ほんのちょっとしか出番ないのにそこばっか読み返したくなる(笑)。ちょっとかわいいところもあって、いい感じ。

イバハチの最期をどの説でいくのかは楽しみでもあったのですが、モルヒネ説でした。これも個人的好みの問題でとっても満足。自分はさっさと飲むくせに、後を追おうとする礼子にそれを許さないあたりはじ〜んと。
結局結構はまったらしいぞ自分。死ねないよね、あんなふうにイバハチに言われたら。そりゃ死ねないさ。っていつの間にか礼子の肩を持っている自分(笑)。

でもなんだかなあ。確かに切ないし、悲劇のヒロインではあるんだけど、世界は礼子を中心に回っている…って思ってしまった私はかわいげがないでしょうかねえ。すべてのキャラは礼子のために動いている…。うーむ。
単なるイバハチ好きの嫉妬か(笑)?愛されキャラ礼子に対するやっかみか(笑)?